小型のLCDに使用される感圧式タッチパネルドライバICをHR2046からXPT2046に交換します。
タッチパネルが動作しない、読み取った座標ばらつきが大きいなどトラブルの解消が見込めます。
記事の目的と内容
感圧式タッチパネルのドライバICが原因で発生する不調を交換により修理する方法を記載します。
以下の内容を記載します。
・ドライバIC(HR2046)が原因で発生する症状
・ドライバICの交換
現象
感圧式タッチパネル付きILI9341(2.4inch)LCDを3セット所有しています。
タッチパネルドライバICがHR2046が実装されていて、すべてのLCDでトラブルが発生しました。
読み取り座標がバラつく
同サイズ(2.4inch)LCDでXPT2046を実装しているモジュールに比べばらつきが大きい。
同じポイントを押し続け、100回分の座標サンプリングを行いました。
左の図は100回分のx, y座標の散布図で、赤字は座標の振れ幅です。
右の図はxとyの軸ごとの変化です。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/ili9341-hr2046.png)
正しい座標情報を読み取れない
画面に触れていなくてもタッチ判定され、画面中央付近の座標情報を読み出す。
タッチの判定がされない
画面にタッチしてもタッチ判定されない。
交換作業
準備
・XPT2046(交換用ドライバIC)
・半田ごて2本
・ソルダーウィック(半田吸い取り線)
・カプトンテープ
手順
交換は次の2つのステップで行います。
ドライバICの取り外しと取り付け作業は高度な半田作業が必要です。
※作業方法は参考ですので、作業は自己責任でお願いします。
1.ドライバICの取り外し
2.ドライバICの取り付け
1.ドライバICの取り外し
初めに取り外すドライバICのリード端子に半田を盛り付けておきます。
画像左は作業前、右は半田を盛り付けた状態です。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/xpt2046-01.jpg)
半田ごてを2本使用しドライバICを挟み込み左右のリードピンの半田を同時に溶かします。
力を込めた作業はNGです。
ドライバICのリードピン半田が溶けきる前に、力で押しのけようとするとパターンが剥離する可能性があります。
または、半田が溶けた瞬間にドライバICをはじき飛ばしてしまいます。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/xpt2046-02.jpg)
パターンに残った余分な半田を除去します。
画像はソルダーウィックを使って除去しています。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/xpt2046-03.jpg)
2.ドライバICの取り付け
カプトンテープでXPT2046を仮止めします。
ズレがあると実装不良でショートなどのトラブルがあるため慎重に作業します。
画像右はマイクロスコープで拡大しています。
部品方向に注意。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/xpt2046-04.jpg)
半田します。
ここではショートしても構うことなく両端の作業をします。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/xpt2046-05.png)
ショートした端子はソルダーウィックを使ってはんだを吸い取ります。
画像右は作業後の端子状態です。
テスタを使い各端子同士がショートしていないことを確認ができたら作業終了です。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/xpt2046-06.jpg)
結果
同じ方法で座標を読み出しました。
XPT2046に変更することで不動、動作異常、バラツキが解消しました。
![](https://tamanegi-digick.com/wp-content/uploads/2024/06/ili9341-xpt2046.png)
交換前後の振れ幅比較
約1/3程度に減少しました。
x軸 | y軸 | |
---|---|---|
HR2046(交換前) | 610 | 405 |
XPT2046(交換後) | 230 | 154 |
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